地球から見た1年の太陽の動きを24等分し、季節を表す二十四節気(にじゅうしせっき)。
二十四節気の各節気をさらに5日くらいずつに分けたのが七十二候(しちじゅうにこう)です。
9月22日~10月7日頃は二十四節気の「秋分(しゅうぶん)」です。
春の春分と同じように、太陽が真東から昇り真西に沈むため昼と夜の長さがほぼ同じ(厳密には昼のほうがやや長いそうですが)になるのが秋の秋分日です。
この秋分日が祝日の「秋分の日」で、祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ日です。
七十二候のうち、秋分の時期に当たる三候をイメージした消しゴムはんこを作ってみました。
二十四節気・秋分の時期の三候をイメージした消しゴムはんこ
二十四節気の秋分は、七十二候で
・「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」
・「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」
・「水始涸(みずはじめてかるる)」
の三候に分けられています。
雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)
9月22日~9月27日頃は「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」です。
雷が鳴り響かなくなるという意味です。
春分の末候「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」と対になっていますね。
消しゴムはんこも春分で「やぁ!」とやってきた雷神さんが、「じゃあね!」と帰っていく様子を彫りました。
雷は夏の季語で、稲妻は秋の季語なのだとか。
雷の放電で生じる光である稲妻は、大気中の酸素や窒素に化学反応を起こし、天然の窒素酸化物を作ります。
この窒素酸化物は雨と共に大地に溶け、植物の成長を助ける肥料となります。
雷が多いと稲が豊作になると言われてきたのは本当のことなのですね。
ちなみに、わたしの住む新潟では12月頃になると雪起こし(あるいは、雪おろし)と呼ばれる降雪前の雷が轟きます。
雪起こしの雷鳴がけっこう激しいので、実は「雷乃収声」があまりピンと来ないのです…。
蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)
9月28日~10月2日頃は「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」です。
虫が土中に掘った穴をふさぐという意味です。
昆虫だけでなく、カエル、ヘビ、トカゲなども冬ごもりの支度をはじめる頃です。
そのままの姿で、卵として、幼虫の姿で、サナギで…、とそれぞれの種に合わせた冬ごもりの形があります。
「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」は、啓蟄の初候「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」と対になっていますね。
消しゴムはんこでも「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」と対になるように、アリが「またね~!」と巣穴に潜っていく様子を彫りました。
水始涸(みずはじめてかるる)
10月3日~10月7日頃は「水始涸(みずはじめてかるる)」です。
田畑の水を干し始めるという意味です。
無事に稲刈りが終わった田んぼと秋の青空、というのもどこか懐かしくてほっこり豊かな気持ちにさせてくれる景色のひとつですね。
消しゴムはんこでは田の地図記号とトンボを彫りました。
田の地図記号は稲が刈り取られた後の形を表しています。
でも、稲の水田だけでなく、ハス、い草、ワサビ、セリなどの栽培地も表しているのだそうです。
トンボは、蜻蛉(とんぼ)文様を参考にしました。
穀雨の初候「葭始生(あしはじめてしょうず)」でも武具に用いられてきた芦文様をはんこにしましたが、蜻蛉文様も鎌倉時代から武具の革の飾りに使われてきました。
蜻蛉文様のトンボはかわいらしくて飄々とした雰囲気もあり、はんこで彫ってみたいと思っていたのがようやく実現しました。
参考サイト・書籍
国立天文台 天文情報センター 暦計算室
Wikipedia「七十二候」
All About 暮らし/暮らしの歳時記「秋分・秋分の日とは?2020年はいつ?意味や食べ物・由来・過ごし方」
国土交通省 国土地理院「地図記号:田」
片野孝志「日本文様事典」河出書房新社,1984年
秋分の箸袋:作った消しゴムはんこと懐紙・キッチンペーパーで
作った消しゴムはんこを、夫のお弁当用の箸を包む箸袋の飾りに使いました。
・懐紙を半分に切り、三つ折りにした箸袋
・キッチンペーパーを半分に切り、四つ折りにした箸袋(「雷乃収声」用は三つ折り)
にそれぞれ消しゴムはんこを押します。
落ち着いて食事を楽しめる季節です。
大切な主食であるお米を思いっきり楽しむお弁当もいいですね。