【和裁】扱いやすく着心地のよい片貝木綿で着物を作りました

ハンドメイド

懸賞で当選した紺仁さんの片貝木綿の反物を使い、和裁教室で着物を仕立てました。

2019年11月から2020年7月までの13回のレッスンと宿題を経て、ようやくできあがりました。

片貝木綿の着物のできあがり

片貝木綿の着物ができるまで

家で水通しした反物を前もって和裁教室の先生にお預けし、裁断とヘラ付け(縫い合わせ部分の印付け)をしていただきました。

今回は、柄と柄のつなぎ目をできあがりのどの位置にもってくるか、先生もだいぶ試行錯誤してくださったそうです。


着物は衣類なだけに衣偏(ころもへん)のつく部位が多いため、ちょっとおさらいのイラストを置いておきます…。

着物の各部位の名称(前)
着物の各部位の名称(後)


「運針」、「折りぐけ」など、和裁の基本的な縫い方については「【和裁の基本技3つ】着物じゃなくても役立ちます」をご参照ください。

まずは袖(そで)から

片貝木綿の着物 袖

まず最初に取りかかるのが、袖(そで)です。

写真の上部が袖の下側にあたります。


袖口を少し(二分≒6㎜)折って折り筋を付けてから、下の部分を袋縫いします。

袂(たもと)の角に五分丸と呼ばれるカーブを描くように運針します。

カーブの外側を同じようにもう1本縫い、それを引き締めて角の丸みを作ります。

袖口は折りぐけで縫い代を始末しました。


絹のしつけ糸で、袖口下から袖下までを「飾り」と呼ばれる大きな縫い目で押さえます。

コテを当ててしわを伸ばし、身頃と縫い合わせる部分に印をつけたら休ませておきます。
 

身頃を縫います

片貝木綿の着物 背縫い

まずは後ろ身頃の中心(背中心)を袋縫いで縫い合わせます。
 

片貝木綿の着物の上げの折りぐけ

次に、前身頃と後身頃の上げを運針で縫い合わせます。

裾(すそ)に向かってキセをかけ、折ぐけで縫い押さえます。


「キセをかける」とは、縫い代を片方に折るとき縫い目よりもわずかに奥を折ることで、和裁で頻繁に登場する技法です。

キセをかけた部分を表から見ると、縫い目が布に覆われています。

キセをかけることで縫い目が保護されますし、見た目もきれいです。
 
 

片貝木綿の着物の脇を縫います

背中心の次は、両脇を運針で縫い合わせます。

上げの部分は厚くなっているので本返し縫いです。

前身頃に向かってキセをかけます。
 

片貝木綿の着物の衽を縫います

左右の前身頃に衽(おくみ)を運針で縫い合わせ、キセをかけます。
 

裾(すそ)と縫い込みを始末します

袖(そで)と衿(えり)以外の本体部分がつながったら、裾(すそ)と縫い込み(布端の余った部分)の始末をします。

着物はできるだけ反物を切らずに仕立てるので、余った部分は切らずに折りぐけをして収めていきます。

片貝木綿の着物の両脇の折りぐけ

 

ひたすら折りぐけで縫い込みの始末をします

先に裾を三つ折りするときの印をつけておきます。

袖と繋がる輪になった部分から脇にかけてひたすら折ぐけします。

衽(おくみ)も折ぐけをします。


そして、左身頃の褄下(つました)から裾(すそ)、右身頃の褄下までぐるりと折ぐけをします。

着物の額縁

裾の角の部分は「額縁(がくぶち)」と呼ばれる形に折り、縫い押さえます。

衿(えり)を縫います

ここまでの工程でずいぶん着物らしい形になります。

続いて衿(えり)を縫いますが、着た時に目立つ部分なので慎重に作業します。

片貝木綿の着物の衿がつきました

衿と共衿の柄の様子を見てから印をつけ、運針で縫い付けます。

力がかかりやすい衿肩明き(えりかたあき)には、余り布で作った「三日月」と呼ばれるパーツを挟んで縫うことで補強します。

衿先を折りたたんで表に返し、ひたすら本ぐけで縫いとめていきます。
 

最後に袖(そで)を縫い付けます

いよいよ終盤です。

一番はじめに縫って休めておいた袖(そで)を、運針で身頃に縫い付けます。

片貝木綿の着物の袖付け周りの折りぐけ

布端を折りぐけで始末します。


そして…、

片貝木綿の着物を縫い終わりました

ようやく縫い終わりました!
 

仕上げをしてできあがり

縫い終わったらおしまい、ではなく、仕上げの工程があります。

仕上げでは霧吹きをした当て布を着物の裏側から当て、縫った所を中心にコテやアイロンで皺を伸ばします。


裾(すそ) → 背 → 左脇 → 右脇 → 右衽(おくみ) → 右褄下(つました) → 衿(えり) → 左衽 → 左褄下

の順にしっかり皺を伸ばし、霧吹きの蒸気もきっちり飛ばすようにコテやアイロンを当てていきます。

ていねいに作業すると、見ちがえるほどピシッときれいな状態になります。

たたみ線もつけたら、完成です!
 

片貝木綿の着物のできあがり

 

適度な張りがあり、縫いやすく着心地のよい片貝木綿

片貝木綿に触れるのは初めてでした。

できあがりまでのレッスン中、先生が

「本当に良い糸だねぇ~」
「生地がしっかりしてるから、ホールド感のある、いい着心地のものになるよ!」

と何度もおっしゃっていたのがとても印象的でした。


今回を含めこれまでに3枚の着物を縫いましたが、硬すぎず柔らかすぎず、一番縫いやすい布地でした。

着てみると、しっかりした生地なのに体によくなじみ、とても快適です。

片貝木綿の着物を着てみました

長襦袢なしで浴衣としても、長襦袢の上に重ねて着物としても着られます。

年齢を重ねても着続けられる色柄なので長く楽しみたいと思います。


わたしがいただいた反物は古いものだと紺仁さんに教わりました。

現在は、地色が華やかで生地がより夏向きのタイプが売られているようです。



憧れていた紺仁さんの片貝木綿、わたしは懸賞当選というラッキーな形で手にしましたが、実際に触れると何とも言えない安心感があります。

天然素材だけど自宅で洗えるというのもうれしいメリットですし、気軽に着物を楽しみたい方におすすめですよ。