紺仁さんの木綿の反物を水通ししました

ハンドメイド

和裁教室で次に作る着物の反物を準備しました。

片貝木綿の製造元として有名な紺仁(こんに)染織工房さんの反物です。

家で水通しをしたのですが、長さの測り方に失敗したおかげで、今回の反物についてより深く知ることができました。

懸賞でいただいた紺仁さんの反物

2018年の冬、新聞で着物関係の読者プレゼントの応募記事をみつけました。

希望商品を反物にして応募し、当選してわが家にやってきたのがこちらの反物です。

紺仁さんの反物

片貝木綿の製造元である紺仁(こんに)染織工房さんの、木綿の反物です。

片貝木綿はいつか着てみたいと憧れていたので、思わぬ形で手に入り、びっくりしました。


「和更紗(わさらさ)」と呼ばれる多色染めの木綿です。

和更紗は、桃山時代から江戸時代にかけてインドなどから渡来した模様染めの木綿(=更紗)を日本で模して作ったものです。

紺仁さんの和更紗

こちらの反物は、灰色の地に唐花が全面に広がっています。

松の煤(すす)と豆汁(ごじる=大豆を搾った汁)を混ぜたもので染める、「松煙染め(しょうえんぞめ)」という染色技法が使われています。


初めて反物を見たとき、ふだん自分が選ばない色味だったので、実はちょっとひるんでしまいました。

和裁教室の先生や、先輩生徒さんに見ていただいたところ、

「いいわねぇ~!よかったじゃない!!」
「素敵!」

とほめてくださいました。

反物を眺めるうち、長く楽しめる色柄であることも含めてじわじわとお気に入り度が増していきました。

今回の水通しの方法と結果…

やや雑な水通しでした

ようやく紺仁さんの和更紗の反物に取り掛かるめどが立ち、反物の水通しをすることになりました。

今回の水通しの方法は以下の通りです。


①軽く折りたたんだ反物を洗濯機に入れる 


②洗濯機を回す
 
反物だけを洗濯洗剤なしで、つけおき120分→洗い15分→すすぎ2回→脱水6分 で回しました。 


③干す

水通しした反物を干す

わたしはパートに行かなければならなかったので、休みで家にいた夫が干してくれました。

途中で扇風機も回してくれ、6時間後にはほとんど乾いていました。 


④アイロンがけ

反物の裏側からアイロンをかける

反物の裏側から地道にアイロンがけをしました。

水通し後、反物が長くなった!?

水通し前に長さを測ったところ、12.84mありました(でも、ここが間違っていました…)。

水通し後に長さを測ってみたところ、13mでした。

おや? 水通し後の方が長い…!?


水通し前の測り方が間違っていたのだろうと思いました。

でも、ラベルに「長さ 12.1m」と書いてあるのが気になります。

実際と差が大きすぎます。

水通しの方法、特に、アイロンがけの方法が雑で、生地を損ねてしまったのだろうかと心配になりました。

素人があれこれ考えていても仕方がないので、製造元の紺仁染織工房さんに問い合わせてみることにしました。

紺仁染織工房さんに問い合わせてみました

紺仁染織工房さんは、新潟県小千谷市にある1751年創業の老舗染物屋さんです。
(紺仁染織工房さんの公式サイトはこちら

片貝木綿は、柳宗悦の指導のもとで昭和20年代に紺仁染織工房さんが生み出したものです。


今回水通しした反物と証紙の写真を添付し、紺仁染織工房さんへ問い合わせのメールをお送りしました。

すると、

①現在使っていない証紙が貼ってあるため古めの反物と考えられるが、基本的に伸びることはあまり無く、よほどでなければ水通しで風合いが損なわれることもないので安心してください。 

②「12.1m」の表示は、「12.1m以上」という意味なので、長い分には大丈夫です。縮みが出ていないならば仕立てやすいと思います。 

と、すぐにご返信くださいました。


また、縮みが出ないのはこちらの反物が松煙染めだからだということも教えていただきました。

松煙染めは、松の煤(すす)を豆汁(ごじる=大豆を搾った汁)に溶かしたものを使います。

大豆たんぱくが硬化して染着し繊維の伸縮を抑え込むため、縮みが出ないのだそうです。


松煙染めも味わい深いですが、紺仁さんが作っておられる片貝木綿は魅力的な色柄がたくさんあり、目移りしてしまいます。

安心して仕立てられます!

勘違いや雑な方法の水通しの結果、せっかくの反物を傷めてしまったのではないかとずいぶん心配しました。

でも、紺仁染織工房さんからの親切なご回答のおかげで、安心してこちらの反物に取り組めます。


色柄を楽しみながら、たくさん着られるよう丁寧に作業していこうと思います。