「残菜入れ」とは・・・?
こちらの小箱、なんだと思われますか?
茶道のときの便利グッズのひとつで、「残菜入れ(ざんさいいれ)」といいます。
お茶席で、懐石(かいせき)のときに残した料理や魚の骨などを持ち帰ったり、食べ切れないお菓子を持ち帰ったりするための箱です。
写真の残菜入れの大きさは、幅9cm × 奥行11cm × 高さ4.4cm です。
必須アイテムではありませんが、ひとつ持っているととても便利です。
残菜入れの使い方
残菜入れは、折りたたみ式の箱です。
ふだんは、コンパクトな姿です。
お菓子を持ち帰るときは、お菓子を懐紙(かいし)という小さな和紙で包みます。
このとき、懐紙だけでなく、硫酸紙(りゅうさんし)を懐紙とお菓子の間にはさむようにすると、お菓子が懐紙にくっつきません。
硫酸紙というのは、耐水性・耐油性のある薄い紙のことです。
残菜入れの折り目を立てるように組み立て、紙に包んだお菓子をしまいます。
紙で包んだだけでは、せっかくのお菓子がつぶれてしまうことも多いです。
残菜入れを使えば、他の持ち物につぶされる心配がありません。
実は、この折りたたみ式の箱の名前を知ったのは、最近です。
使っていた当時は、用意してくれた実母も名前を知りませんでした。
「残菜入れ」が好きです
残菜入れとわたし
わたしは、19才から6~7年ほどお茶を習っていました。
実母が若い頃にお茶を習っていた同じ先生に、わたしも教えていただきました。
お稽古に通いはじめるとき、実母が必要最低限のグッズを用意してくれました。
その中にあったもののひとつが、残菜入れです。
残菜入れと懐紙だけは、当時、母が新たに買ってくれたようです。
まず、箱の柄に惹かれました。
そして、
・折りたたみ式なので使わないときはかさばらない
・何度もくり返し使える
というところが大好きになりました。
ふだんのお稽古では使うチャンスがあまりありませんでした。
お稽古の一環で、先生と一緒にお茶会に行ったときには大活躍してくれました。
1回のお茶会で、3席くらいのお茶席に行きます。
どのお茶席のお菓子も、そのときにいただきたいのはやまやまですが、さすがに2~3席目となるとつらいです。
そんなとき、懐紙と硫酸紙で包んだお菓子を残菜入れにしまって持ち帰りました。
残菜入れとの再会
転職や結婚のためお茶のお稽古はやめてしまい、ずっと遠ざかっていました。
家で簡単に抹茶を点てて飲むことも、10数年ほどありませんでした。
干菓子や練り切りは大好きで、娘と楽しんでいました。
最近になって、また抹茶を飲みたいと思うようになり、実母に頼んで実家に眠っている道具を掘り起こしてもらいました。
そして、残菜入れと再会しました。
とても懐かしく、そして、やっぱりかわいいなあとつくづく思いました。
当分の間、お茶席など、残菜入れの本来の使い方をする場面はなさそうです。
お菓子を持ち運ぶなどの本来の使い方の他にも、
・ごく小さなおむすびやサンドイッチなどを持ち運ぶお弁当箱
・プレゼントのラッピング用の箱
・携帯用の裁縫箱
としても使えるのではないかと考えています。
せっかく再会した残菜入れなので、日常的に使っていけたらいいなと思います。