地球から見た1年の太陽の動きを24等分し、季節を表す二十四節気(にじゅうしせっき)。
二十四節気の各節気をさらに5日くらいずつに分けたのが七十二候(しちじゅうにこう)です。
8月7日~8月21日頃は二十四節気の「立秋(りっしゅう)」です。
暑さは厳しいものの、秋の気配が感じられるようになる頃です。
七十二候のうち、立秋の時期に当たる三候をイメージした消しゴムはんこを作ってみました。
二十四節気・立秋の時期の三候をイメージした消しゴムはんこ
二十四節気の立秋は、七十二候で
・「涼風至(すずかぜいたる)」
・「寒蟬鳴(ひぐらしなく)」
・「蒙霧升降(ふかききりまとう)」
の三候に分けられています。
涼風至(すずかぜいたる)
8月7日~8月11日頃は「涼風至(すずかぜいたる)」です。
涼しい風が立ちはじめるという意味です。
じっとりと重くまとわりつくように暑い時期ですので、字面からしてさわやかな「涼風至」が現実にリンクしてくれるとほっとしますね。
消しゴムはんこは家紋の「五本骨扇」を彫りました。
「涼風」の文字から、扇であおいだときのようなやさしい風をイメージしました。
扇や秋について調べているうちに、「秋扇(しゅうせん/あきおうぎ)」という秋の季語があることを知りました。
秋になり使われなくなった扇から転じて、男性からの愛を失った女性のたとえに使われる言葉だそうです。
中国前漢の成帝の寵愛を失った女性の故事が元になっているとはいえ、気持ちが離れる様を使われなくなったものに例えるのは好きじゃないなぁと感じます。
でも、前漢の時代の扇は今でいううちわのような形だとか。
今回消しゴムはんこで彫ったような形の扇子は、「秋扇」の故事の舞台となった前漢より何百年も後に日本で生まれました。
末広がりで縁起が良いとされる扇子は、わたしも大好きなモチーフです。
「涼風至」は実りの季節の訪れをそっと告げる縁起のよい風が吹きはじめる頃と考え、お気に入りの扇モチーフで表したいと思います。
寒蟬鳴(ひぐらしなく)
8月12日~8月16日頃は「寒蟬鳴(ひぐらしなく)」です。
ヒグラシが鳴きはじめるという意味です。
ヒグラシはセミの一種で透明な羽を持ち、早朝や夕方に「カナカナカナ…」、聞きようによっては「キキキキキ…」と鳴きます。
消しゴムはんこでは透明な羽を持つセミを彫ってみました。
わたしの彫りの技術が未熟なため、こういう図案だと線が角ばって懐かしの版画のような仕上がりになってしまうのが反省点です。
ヒグラシのつもりで図案を起こしましたが、せめてセミに見えるといいです…。
蒙霧升降(ふかききりまとう)
8月17日~8月21日頃は「蒙霧升降(ふかききりまとう)」です。
深い霧が立ち込めるという意味です。
霧は空気中の小さな水滴で辺りがくもったようになり、見渡せる範囲が1㎞未満のものをさす気象用語です。
朝晩の気温が下がることで空気中の水蒸気が水滴になり、霧が発生します。
雨水の七十二候「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」でも触れましたが、霞(かすみ)は春の季語、霧(きり)は秋の季語です。
霧というと山や高原の涼しさが思い浮かびます。
消しゴムはんこは、木を彫りました。
スタンプインクをふんわりまばらにつけて押すことで、形にしにくい霧を表してみました。
使ったスタンプインクは、「千歳緑(ちとせみどり)」という名前の深い緑色です。
参考サイト・書籍
国立天文台 天文情報センター 暦計算室
Wikipedia「七十二候」
All About 暮らし/暮らしの歳時記「立秋とは?2020年はいつ?意味や過ごし方を解説」
立秋の箸袋:作った消しゴムはんこと懐紙・キッチンペーパーで
作った消しゴムはんこを、夫のお弁当用の箸を包む箸袋の飾りに使いました。
・懐紙を半分に切り、三つ折りにした箸袋
・キッチンペーパーを半分に切り、四つ折りにした箸袋
にそれぞれ消しゴムはんこを押します。
暑くて食欲がいまいちな時期のお弁当作りは、塩分補給を心がけるようにしています。
厳しい暑さに秋の気配を追い求めたくなりますが、この時期だからこそ食べられる旬を楽しみながら乗り切りたいですね。