穴が開いてしまった服をどう補修するか…?
なるべく目立たず自然に仕上げる方法を思い浮かべやすいですが、あえて目立たせながら補修する「装飾ダーニング」という方法もあります。
夫の夏用作業着で、初めてのダーニングに挑戦してみました。
ダーニングとは?
暮らしの手帖で知った「装飾ダーニング」
ダーニングは衣類の穴開きやすり切れを修繕する方法で、ヨーロッパで伝統的に行われてきました。
補修したい場所にたて糸とよこ糸を交互に交差させ、平織のような面を作ってカバーするのが基本の方法です。
わたしは2016年発行の「暮らしの手帖 84号」で初めてダーニングの存在を知りました。
暮らしの手帖では、ニットデザイナーの野口光さんがあえて目立つ色の糸を使う「装飾ダーニング」を紹介されています。
装飾ダーニングが施された衣類の写真を見て、「かわいいなぁ」、「こんな方法もあるんだ!」と驚きました。
でも、穴が開いたりシミがついちゃったけど使い続けたい!と思う布製品が身近にありません。
ダーニングに心惹かれつつも、試すことなく日々が過ぎていきました。
穴開きの衣類が登場!
自分の靴下も服も、全体的にくたびれはしても穴開きやすり切れにはなかなか至りません。
そんなある日、夫が仕事の作業着を引っかけて穴を開けてしまったので直してほしいと言い出しました。
ついにチャンスが来た!と思い、装飾ダーニングをしてみることにしました。
事前に夫に言うと拒否反応を起こす可能性があったので、こっそり実行しました。
刺し子糸で初めてのダーニング
材料・用具:ダーニングマッシュルーム、もしくはその代用品は必須です!
刺し子糸
水色と生成り色の2種類を使いました。
手持ちの刺し子糸です。
・作業着が綿で、夏用なので、毛糸ではなく太目の綿にしたい
・作業着のグレーに合う派手過ぎない色味
ということでこの2色の刺し子糸にしました。
針
刺し子用の太くて長い針です。
はさみ
そして、ダーニングというと専用の用具である「ダーニングマッシュルーム」が有名です。
ダーニングマッシュルームは、きのこの形をしたダーニングのための道具です。
はじめのうち、「布をぴんと張れば、特別な道具はいらないのでは…?」と高をくくっていたのですが、大間違いでした。
土台なしでダーニングを途中まで試してみたのが上の写真です。
何かしらの台がないとよれよれになってしまい、後の作業がスムーズに進みません。
布にほどよい張りを持たせた状態を保ち続けるのは、道具なしでは至難の業です。
わたしはワンカップの底と輪ゴムを投入して代用しましたが、なめらかな球面があるものを用いた方が確実にはかどるしきれいに仕上がると痛感しました。
ダーニングマッシュルームの代用品としては、
・電球
・ピンポン玉
・こけし
・球面になっているハンドクリーム等のふた
などが使えます。
ワンカップの底はなめらかですがくぼんでいるので、ダーニングの台として適しているとは言い難いです。
わが家にあるもので代用するなら、娘の持っているけん玉の球が最適だったろうと思います。
方法
大まかな方法は、
①たて糸を渡す
②よこ糸を渡す
③糸の始末をする
です。
①たて糸を渡す
カバーしたい部分をダーニングマッシュルーム等の台に被せてゴムで固定させます。
穴を覆うように、たて糸を渡します。
右上から針を出し、下、上、下、上…、と、すき間が開きすぎないように注意しながら布地を少しづつすくって穴を覆います。
水色の糸の方がこの後に使う生成り色の糸よりも細いので、二本取りにしました。
②よこ糸を渡す
左上からよこ糸(写真の生成り色の糸です)を入れ、たて糸を交互にくぐらせていきます。
機織り(はたおり)のイメージです。
すき間が開きすぎないように針先やフォークで横糸を詰めていきます。
③糸の始末をする
たて糸もよこ糸も糸端が表に出ている状態なので、裏側に出します。
たて糸はたて糸で布地をすくったときにできた縫い目、よこ糸はよこ糸で布地をすくったときにできた縫い目に2~3目ずつ絡ませて糸を切ります。
できあがり!
布地がつり気味になってしまいましたが、本気で開いていた穴がどうにかふさがりました!
ミニチュアの機織りをしているような感覚で、楽しかったです。
何度も洗濯した後のダーニング部分は?
ダーニングで補修した作業着は、ついでにNHK Eテレ「びじゅチューン!」の「お互い擬態」の手作りワッペンも縫い付けて夫に戻しました。
仕事先の人に何か言われることもないそうです。
夫は何も言わずに他の2着の作業着と順番で着て、気をつかうことなく洗濯していました。
一週間に2回の洗濯を約1か月半、10回以上の洗濯を経たダーニング部分は…、
十分に持ちこたえていて、まだまだ大丈夫そうです。
初めてダーニングしてみましたが、それほど難しい作業でなく、針・糸・球面のある台があれば割と簡単にできます。
穴開きやすり切れだけでなく、どうしても落ちないシミをカバーするのにも活用できそうですし、飾りとしてダーニングを施してみてもかわいいですね。
刺し子、アップリケ、刺繍だけでなく、ダーニングも素材や場所によって組み合わせて使うと楽しそうです。
今回、わたしは「暮らしの手帖 84号」を教科書にしてダーニングをしました。
暮らしの手帖のダーニングの記事で指導に当たられたニットデザイナー・野口光さんによるダーニングの本が、いくつも出版されています。
こちらの本は、わたしが今回初めて試した基本のダーニングの他、円形のダーニングや当て布を使う方法など、さまざまな技法が紹介されています。
写真もきれいで、眺めているとわくわくしますよ。