【「びじゅチューン!」の魅力】美術と歴史が身近になり、楽しみながら観察力も養えます

びじゅチューン!は、みても きいても、細かなところまでおもしろいですびじゅチューン!

びじゅチューン!とは

「びじゅチューン!」は、NHK Eテレで放送されている5分間番組です。

古今東西の美術作品を、アーティスト・井上涼さんが作った歌とアニメーションで楽しく紹介してくれます。


初めて「びじゅチューン!」を見ると、あまりの斬新さにびっくりすると思います。

井上さんの独特の発想と、バリエーション豊かな楽曲がやみつきになります。


やみつきになってびじゅチューン!を見続けるうちに、

  • 登場するキャラクターや場面のつながりに気づき、探し出すことが楽しくなってきます!
  • 各作品に散りばめられたアイテムの意味を知りたくなります!
  • モデルとなった美術作品の実物に会いに行きたくなります!
  • 美術作品やそれにまつわる歴史が、ぐっと身近に感じられるようになります!

びじゅチューン!の魅力

びじゅチューン!は、見ても 聞いても、細かなところまでおもしろいです

井上涼さんの発想の自由さ

擬人化がすごいです。

例えば、

  • 「縄文土器先生」では、国宝・「火焔型土器」が中学校の英語の先生になっています。
  • 「姫路城と初デート」は、国宝・「姫路城」と人間の男子・谷くんの初デートが描かれています。
  • 「転校しないで五絃琵琶」では、正倉院の宝物の一つである「紫檀螺鈿五弦琵琶(したんらでんのごげんびわ)」が、 琵琶の姿のままで高校生になっています。


縄文土器をジェントルマンな先生に例えるとか、姫路城をガードの固い女の子に例えるとか、琵琶を高校生に例えるとか、井上涼さんの発想は豊かなオリジナリティのかたまりです。


そのおかげで、美術作品の持つ、ちょっと近寄りがたいイメージが気持ちよく壊されます。


個性豊かなキャラクター達は、それぞれの世界を生きつつも、干渉しあうことなく共存しています。

多様性を認め合うというのは、びじゅチューン!のような世界なのかなと思います。

楽曲のバリエーションの豊かさ

びじゅチューン!は現在までに101作品(Wikipediaに作品のリストが掲載されています) が作られていますが、似たような曲がありません。

例えば、

  • 「アイネクライネ唐獅子ムジーク」は、狩野永徳の「唐獅子図屏風(からじしずびょうぶ)」がモデルの作品で、 曲はモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が採り入れられています。
  • 「噴火する背中」は、豊臣秀吉が羽織っていたと伝わる「富士御神火文黒黄羅紗陣羽織(ふじごしんかもんくろきらしゃじんばおり)」が モデルの作品で、曲はロック調です。


井上涼さんには、どれほど多くの引き出しがあるのでしょう・・・。

どの楽曲も一度耳にしたら、まず間違いなく、頭の中でくり返し流れ続けます。


歌詞も深くておもしろいです。

例えば、

  • 「保健室に太陽の塔」は、岡本太郎の「太陽の塔」がモデルの作品です。 悩みを打ち明ける女子学生に、保健室の先生である太陽の塔が、 「次の瞬間はすでに 新しいあなたに なってる」とアドバイスします。
  • 「洛中洛外シスターズ」は、国宝・「洛中洛外図屏風(らくちゅうらくがいずびょうぶ)(舟木本)」がモデルで、 かつ、DJみそしるとMCごはんさんとの初コラボレーション作品です。姉妹がグルメ激戦区の京都の街にホットドッグで勝負を挑むという内容が、 ラップ調の歌詞で楽しく歌われています。


歌詞に韻の踏まれた部分も多いので、楽しいですし、覚えやすいです。
 

何回見てもおもしろい

びじゅチューン!では、

ある作品で主役だったキャラクターが、別の作品でちらりと登場する

ということがよくあります。

例えば、「風神雷神図屏風デート」で主役だった風神と雷神が、

  • 「ムンクの叫びラーメン」では、ラーメン屋さんのお客さんとして登場します。
  • 「姫路城と初デート」では、電車に乗ってデート中の風神と雷神の後頭部が見えます。
  • 「特急三日月宗近」では、電車の乗客として登場します。
  • 「噴火する背中」では、ぬいぐるみになっています。



また、モデルとなった作品や作者にちなんだモチーフなども登場します。

例えば、「風神雷神図屏風デート」では、

  • 実際の作品に「たらしこみ」という技法が使われたことから、 風神と雷神は「たらしこみの雲カー」でドライブデートします。
  • 歌詞カードを画面の右下で持っているのは、 俵屋宗達、俵屋宗達の風神雷神図屏風を模写した尾形光琳、尾形光琳の風神雷神図屏風を模写した酒井抱一 の3人です。



井上涼さんが作品に散りばめてくださった「ちらり」達は、さりげなく贈られたプレゼントのようで、とてもわくわくします。



びじゅチューン!をくり返し聞いていると、 コーラスの歌詞を意識するようになります。

例えば、「風神雷神図屏風デート」では、 モデルとなった作品が「琳派(りんぱ)」と言われる流派の絵師によって描かれたことから、「りんぱらぱっぱ りんぱ りんぱ」と歌われています。


コーラスの歌詞が文字に起こされることはほぼないので、自分で聞き取るしかありません。

モデルとなった作品の作品名・作者名が歌われていることも多く、勉強になります。

「びじゅチューン!」まずは見てください

びじゅチューン!は、美術や音楽、歴史が好きな方はもちろん、

「美術って、なんだか敷居が高いなあ・・・。」
「学校の授業で習ったけど、歴史は苦手だった・・・。」

という方にも、まずは見ていただきたいです。


これから美術や歴史を学ぶ子どもさん、授業のつかみネタに困っておられる学校の先生にも見ていただきたいです。


びじゅチューン!作品に散りばめられた、細かなアイテムや設定、繋がりに気づいたときのうれしさは、推理小説などの事件解決のときの爽快さに似ていますので、推理物が好きな方にもおすすめです。