好きなものは、行動を生む! と、わたしに気付かせてくれたNHK Eテレの「びじゅチューン!」。
古今東西の美術作品をアーティスト・井上涼さんの作った歌とアニメで楽しく紹介してくれる、かわいくて、ためになり、クセになる5分間番組です。
(びじゅチューン!の公式サイトはこちら)
大好きなびじゅチューン!を見ていると、わたしはなぜかモノを作りたくなります。
心を鷲掴まれるキャラクターの宝庫であるびじゅチューン!の中から、「ひとよだけ巡査」、「松林ズ」、「お互い擬態」の3作品のキャラクターでフェルトのワッペンを作りました。
できあがったワッペンの行き先は、夫の夏用作業着の内側です。
びじゅチューン!キャラクターを手作りのフェルトのワッペンに
作業着の補修がチャンス!
以前、びじゅチューン!「アルルの訳あり物件」に登場するめぐすりをフェルトでワッペンにして、夫の作業着に縫い付けました。
洗えるフェルトを使ったのが功を奏したのか、度重なる洗濯にも耐えてくれています。
ある日、夫から
・胸ポケットのマジックテープが取れそうになっているので補強してください
・太もものポケットを引っかけて穴が開いたので縫ってみてください
と夏用作業着3着の補修を依頼されました。
めぐすりワッペンを縫い付けたのとは別の作業着です。
絶好のチャンス到来です。
補修のおまけに、手作りのワッペンを縫い付けることにしました。
フェルトのワッペン作り
録画したびじゅチューン!のアニメーションを一時停止して模写し、図案を起こしました。
図案の転写は上の写真のような専用のトレーシングペーパーを使いましたが、サイズが小さく、転写先のフェルトがもくもくしているので線が見えにくいです。
補足で線を描き足すとき、洗い流せるチャコペンの極細タイプが便利でした。
ワッペンの材料は、手持ちの洗えるフェルトと手縫い糸です。
フェルトの切り出しや図案描きができたら、それぞれアップリケと刺繍をします。
アップリケは手縫い糸1本取りのたてまつり縫いです。
刺繍も、手縫い糸を2本取りにしたバックステッチがメインです。
アップリケと刺繍を終えたら洗ってチャコペンの跡を消します。
アイロンをかけて形を整え、完成させます。
でも実は、こんなに手間をかけずとも、商品化されたびじゅチューン!の刺繍ブローチが販売されているのです…。
洗えるフェルトで作ったびじゅチューン!ワッペン3つ
びじゅチューン!「ひとよだけ巡査」のひとよだけ巡査さん
「ひとよだけ巡査」はエミール・ガレのガラスのランプ「ひとよ茸」(北澤美術館)がモデルの作品です。
のどかな町のお巡りさんをしているひとよだけ巡査が、連続高級きのこ盗難事件の捜査に協力するお話です。
ガラスのハートのひとよだけ巡査は大殺界真っ最中にもめげず、犯人逮捕に一役買います。
そのひとよだけ巡査の姿が大変いじらしく健気なのです。
手持ちのフェルトにオレンジ色がなかったので、ひとよだけ巡査の傘は黄色のフェルトを使いました。
できあがったワッペンは、胸ポケットの企業マークの裏側に縫い付けました。
表からは見えません。
占いで運勢が悪いときにも仕事はやってきます。
コンディションがいまいちでも、落ち着いて自分らしく仕事をしてほしいとの願いを込めました。
びじゅチューン!「松林ズ」の松の木
「松林ズ」は長谷川等伯による国宝「松林図屏風」(東京国立博物館)がモデルの作品です。
スモークが焚かれ過ぎたステージをものともせず、アイドルグループ・松林ズの松の木たちが最高のパフォーマンスを披露するお話です。
ワッペンは、ポーズを決めた一本の松の木を白いフェルトに手縫い糸で刺繍しました。
幹は灰色の糸でバックステッチをし、枝葉は黒の糸でストレートステッチを重ねました。
こちらのワッペンも、胸ポケットの企業マークの裏側に縫い付けました。
「松林ズ」の松の木たちのように多少のハプニングに動じることなく、夫には自分の仕事を全うしてほしい!との願いはもちろんあります。
ただ、過去記事「100均の布にも描けるペンとお弁当用トートバッグでオリジナルお弁当袋作り」でも触れましたが、夫は松林ズの決めポーズをまねて腰を痛める失態を犯しています。
「無理は禁物、健康第一!」という戒めでもあります。
びじゅチューン!「お互い擬態」の不動明王さんと大日如来さん
「お互い擬態」は平安時代後期に彫られたとされる大分県豊後高田市の熊野磨崖仏(くまのまがいぶつ)がモデルです。
過去記事「びじゅチューン!『お互い擬態』で刺し子のふきん」でもモチーフにしましたが、ここで描かれる不動明王さんと大日如来さんは親しみやすく、かわいらしくて大好きです。
岩壁をイメージした灰色のフェルトに黒の手縫い糸を使い、バックステッチのみで刺繍しました。
こちらのワッペンは、穴開きをダーニングで補修したポケットの内側に縫い付けました。
待ち合わせになかなか来ない相手にヤキモキしても、お互いの無事を知って「な~んだ!」と笑い合える不動明王さんと大日如来さんのおおらかさは素敵です。
そんな心の余裕は忘れずにいたいものです。
心配性が胃腸に表れがちな夫が、不動明王さんと大日如来さんのおおらかさをときどき思い出してくれるといいのですが…。
趣味の押し付けではあるけれど
びじゅチューン!を大好きなのはあくまでもわたしであって、夫ではありません。
作業着にびじゅチューン!キャラクターの、しかも、手作りのワッペンを縫われてしまう事態…。
理解を示してくれているとはいえ、夫はわたしから趣味の押し付けに遭っています。
黙って受け入れる心の広さは、夫の長所のひとつです。
自分の趣味の押し付けだとわかっていても尚、夫の作業着にびじゅチューン!でちょっかいを出してしまうのはなぜなのか考えてみました。
・とにかくわたしがびじゅチューン!を大好きだから
・苦笑いでもいいので、時にはふっと心を緩めてほしいから
・「あなたのおかげで妻は存分に好きなことを楽しんでるよ、ありがとう!」を伝えたいから
あたりが理由かもしれません。
望んで選んだ仕事であっても、後ろ向きで重たい感情になることは誰にでもあります。
夫には、びじゅチューン!の個性的でやさしく温かな世界を思い出しつつ、まず自分自身を大切にした上で仕事に励んでもらいたいです。
手作りのワッペンはいずれも作業着の内側に縫い付けました。
商品化された刺繍ブローチなら、外側でもいけるかな…。