実家で見つけた刺し子のふきん
実家に立ち寄ったとき、干されていたふきんに目が留まりました。
刺し子のふきんです。
伯母のお姑さんが刺したふきんで、伯母が実母に何枚か持ってきてくれたそうです。
近くで見てみると、
・縫い目がていねい
・ふきんの端の処理がおしゃれ
・糸の色合いがポップでかわいい
など、くぎ付けになりました。
刺し子のふきんといえば、さらし布を2枚重ねて刺すものだと思っていたのですが、実家にあったふきんは1枚のさらし布に刺し子が施されていました。
縫い始めと縫い終わりに玉結びはありません。
刺し子とは
Wikipediaを引用させていただくと、
刺し子(さしこ)とは、手芸の一分野で、布地に糸で幾何学模様等の図柄を刺繍して縫いこむこと。
引用元:Wikipedia「刺し子」
布の補強や防寒のため、生活の中から生まれた刺しゅうの技法のひとつです。
1枚のさらし布で作られた刺し子のふきん
実家に残っていた3枚の刺し子のふきんをご紹介します。
扇と麻の葉
扇(おうぎ)と麻の葉模様が、青と赤の糸で刺されています。
扇の要(かなめ)と房が重なっているデザインが、よく考えられているなと思います。
扇は、「末広がり」の形がおめでたいので、縁起物として好まれるモチーフです。
裏面はこちらです。
麻の葉
橙色の糸で麻の葉模様が一面に刺されています。
ふきんの上下のかがり方がどのような仕組みなのかがわからないのですが、三つ折りされた布と布の間に針を通すことで、表も裏もきれいな仕上がりになっています。
麻の葉模様は、生育の早い麻にあやかり、子どもの健やかな成長を願って赤ちゃんの衣類に用いられたほか、女性の着物の柄としても人気だったようです。
ふきんの裏面はこちらです。
七宝つなぎ
段染めのカラフルな糸を使って、七宝つなぎが一面に広がっています。
パステルカラーの糸なので、写真で模様が見づらくなっているのが残念です。
こちらも、上下の縁から対角線に配された房までが自然につながるように刺されています。
上下の黒い糸は、模様刺しの範囲の目印をそのままにしてあるのではないかと思います。
七宝つなぎは、円を重ねることから、平和、円満、富、子孫繁栄をあらわす吉祥文様のひとつです。
ふきんの裏面はこちらです。
明治生まれの人の手仕事
この刺し子のふきんを作った伯母のお姑さんは、明治生まれの方でした。
わたしが小さい頃、伯母一家がときどき家族でごはんを食べに来ていました。
伯母のお姑さんも一緒に来られては、わたしの曾祖母と談笑していました。
着物を着ていらしたこと、とてもやさしい声でお話してくれるおばあちゃまだったことを覚えています。
手先の器用な方だったそうで、刺し子のふきんの縫い目のていねいさや縁飾りのきれいさを見ると、納得です。
1枚のさらし布で作られたふきんですが、実家での酷使に何年も耐える丈夫さもあります。
刺し子模様の飽きのこないデザインと実用的な丈夫さを再確認できました。