お茶の先生のお宅のお正月飾り&先生のお姑さんの教え

覚えているのがお茶以外のことばかりですみませんひとやすみ

10代の終わりから20代半ばにかけて、6~7年間お茶を習っていました。

実母が習っていた先生にわたしも教わりました。

毎年の暮れ、先生が床の間にしつらえられていた「だいだい ゆずりて すみつく」のお正月飾りが好きでした。

先生のお宅のお正月飾りと共に、お姑さんからの言いつけだと先生が教えてくださったことも思い出されます。

お茶の先生のお宅の「だいだい ゆずりて すみつく」のお正月飾り

だいだい ゆずりて すみつく

先生がしつらえられていたのは、上のイラストのようなイメージのお正月飾りです。
(本当は、お飾り用の和紙もあしらわれていたのですが、わたしの画力が伴わないのでメインだけ描きました。)

橙(だいだい)、ゆずり葉、炭だけの潔いお飾りでした。

 ・橙 = だいだい → 代々  

 ・ゆずり葉 → 譲り  

 ・炭 = すみ → 住み 

から、「代々 譲りて 住み着く」という願いが込められているのだそうです。


大きめの炭を使うためか、 このお飾りが置かれると周囲の空気が澄みます。


わたしの実家では市販の鏡餅を飾るくらいだったので、毎年変わらずに先生が用意されるお正月飾りが好きでした。

先生のお姑さんの教え

習ったお点前などは忘れてしまったことだらけですが、お正月飾りの他にも、ふだんの生活で先生がおっしゃっていたことを思い出すことがあります。

・空手(からて)で動かない 

・煮物の具は必要な分だけ数えて 

の二つです。


先生は実家の祖母よりも1歳年上の女性でした。

早くにお姑さんとお連れ合いを立て続けに亡くされ、お子さんがいらっしゃらなかったこともあり、長く一人暮らしをされていました。

先生のお姑さんの教え① 空手(からて)で動かない

空手で動かない

先生がお姑さんから言われたことのひとつが「空手(からて)で動かない」だそうです。

用事を足しに行って目的を果たした後、一目散にただ戻ってくるのではなく、戻る途中で別の用事が足せないか考えて動くようにしなさい、という意味です。


お連れ合いが後継ぎではなかったものの、先生は商家に嫁がれました。

商家の人らしい合理性を持ち合わせていたお姑さんから、若かりし頃の先生が言われたのが「空手で動かない」でした。

お姑さんは決して厳しい方ではなかったものの、ご本人いわく「勤め人の家でのんびり育った」先生にはちょっとしたカルチャーショックだったそうです。


わたしは、仕事や家事が立て込んでいたり、冠婚葬祭で人様を迎える側になったりするとこの話を思い出します。

「空手で動いてることが多いなぁ」

と、自分の動きの無駄の多さを反省するばかりです。

先生のお姑さんの教え② 煮物の具は必要な分だけ数えて

煮物の具は必要な分だけ数えて

お稽古で先生のお宅に伺うと、ときどきおかずを作っておられたらしい跡がありました。

そんなときに先生が、

「『煮物の具は必要な分だけ数えて用意するもの。そうすれば無駄が出ないから。』と姑に言われました。」

と教えてくださいました。

例えば、里芋は一人3切れずつだとしたら三人家族なら9切れ、にんじんは一人2切れずつだとしたら三人家族なら6切れ準備する、という具合です。

先生のご実家ではそんな計算はせずにドーンと一気に作っていたそうで、

「同じ新潟でも、煮物ひとつでこんなにやり方が違うなんてねぇ。」

と話されていました。

やや窮屈に感じるものの、言われた通りにしてみると確かに無駄が出ないので、先生はお姑さんの教えに従って煮物やおかずの材料を準備するようになったそうです。


わたしの実家も7人家族で、各々におかずを盛り付けることなどありませんでした。

料理は一気にドーンと作って食卓に出すというスタイルだったので、結婚当初は作る料理の量の調整がうまくいきませんでした。

そんなときに思い出したのが先生のこの言葉で、ようやく食べ切れる量を作れるようになりました。

今も、できあがりの量から逆算して料理の材料を用意することが多いです。

お茶の先生には孫のようにかわいがっていただきました

基本的に週1回、先生のお宅に伺ってお稽古していただいていました。

他のお弟子さんがいらっしゃることもありましたが、6~7割はマンツーマンのお稽古でした。

大寄せのお茶会にも先生と二人で行っていました。

わたしが教わっていたお茶以外にも、お花、謡(うたい)、香道、盆景(ぼんけい)など、いろいろなことに造詣の深い先生でした。

お茶以外のことも静かに楽しそうにお話してくださるのがお稽古の楽しみのひとつでした。

お稽古の様子を実母に話すと、

「え~っ、先生、わたしのときよりあんたに優しいじゃん!」

とうらやましがられていました。


また、複数のお茶の先生方のお弟子さん達と合同でお茶席を持ったとき、先生とわたしの様子を見ていた方から、

「なんだか、本当のおばあちゃんと孫みたいね。」

と言われたこともあります。

当時、ほぼマンツーマンのお稽古をしていただくことの貴重さをよく分かっていなかったわたしですが、先生はとてもぜいたくな時間をくださっていたのですね。

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