地球から見た1年の太陽の動きを24等分し、季節を表す二十四節気(にじゅうしせっき)。
二十四節気の各節気をさらに5日くらいずつに分けたのが七十二候(しちじゅうにこう)です。
5月20日~6月4日頃は二十四節気の「小満(しょうまん)」です。
小満はあらゆるものに生気が満ち、草木が茂る頃です。
七十二候のうち、小満の時期に当たる三候をイメージした消しゴムはんこを作ってみました。
二十四節気・小満の時期の三候をイメージした消しゴムはんこ
二十四節気の小満は、七十二候で
・「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」
・「紅花栄(べにばなさかう)」
・「麦秋至(むぎのとき/ばくしゅう いたる)」
の三候に分けられています。
蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)
5月20日~5月25日頃は「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」です。
蚕(かいこ)が桑を盛んに食べはじめるという意味です。
小学校のときにクラスで蚕を育てたことがありましたが、蚕がもくもくと桑の葉を食べて大きくなっていったのをよく覚えています。
羽化した成虫もかわいいなと思っていました。
ただ、蚕そのものを図案にするのはわたしには難しかったので、消しゴムはんこは桑の葉を彫りました。
養蚕のためだけでなく、実を食べたり、根や枝が生薬として利用されたり、桑は古くから生活に広く役立てられてきた植物のひとつです。
桑の葉をたくさん食べて育った蚕が作った繭から採られるのが、絹です。
絹は、着物、帯、帯揚げ、帯締めなど、和服には欠かせない天然素材です。
そんなことも考えながら、簡単な着物のマークも消しゴムはんこで作りました。
紅花栄(べにばなさかう)
5月26日~5月30日頃は「紅花栄(べにばなさかう)」です。
紅花が盛んに咲くという意味です。
「末摘花(すえつむはな)」とも呼ばれる紅花は、染料や口紅として使われてきた他、生薬や食用油にも利用されてきました。
消しゴムはんこは、咲いている紅花を横から見た姿を彫りました。
麦秋至(むぎのとき/ばくしゅう いたる)
5月31日~6月4日頃は「麦秋至(むぎのとき/ばくしゅう いたる)」です。
麦が熟し麦秋となるという意味です。
「麦秋(ばくしゅう)」は、麦の穂が実って収穫を迎えた季節のことで、麦にとっての秋であり、初夏の季語にもなっています。
消しゴムはんこは、よく実った大麦をイメージしました。
実際は、穂先にある「芒(のぎ)」という針のような毛がもっと長い品種が多いようですが、はんこで彫るにはわたしには難しいです。
今回は穂の実りを強調してみました。
参考サイト・書籍
国立天文台 天文情報センター 暦計算室
Wikipedia「七十二候」
小満の箸袋:作った消しゴムはんこと懐紙で
作った消しゴムはんこを、夫のお弁当用の箸を包む箸袋の飾りに使いました。
懐紙を半分に切り、三つ折りにした箸袋に消しゴムはんこを押します。
桑も、紅花も、麦も、昔から人間の生活を助けてくれてきた植物たちです。
消しゴムはんこを作るために調べてみて、植物を活用してきた先人たちの知恵と工夫の一端に触れられたような気がします。