地球から見た1年の太陽の動きを24等分し、季節を表す二十四節気(にじゅうしせっき)。
二十四節気の各節気をさらに5日くらいずつに分けたのが七十二候(しちじゅうにこう)です。
6月21日~7月6日頃は二十四節気の「夏至(げし)」です。
夏至は昼の長さが最も長くなる頃で、太陽の力が最も強まると考えられてきました。
七十二候のうち、夏至の時期に当たる三候をイメージした消しゴムはんこを作ってみました。
二十四節気・夏至の時期の三候をイメージした消しゴムはんこ
二十四節気の夏至は、七十二候で
・「乃東枯(なつかれくさかるる)」
・「菖蒲華(あやめはなさく)」
・「半夏生(はんげしょうず)」
の三候に分けられています。
乃東枯(なつかれくさかるる)
6月21日~6月25日頃は「乃東枯(なつかれくさかるる)」です。
夏枯草(カコソウ)が枯れるという意味です。
夏枯草はウツボグサの別名です。
ウツボグサは夏に穂のような形で紫色の花をつけますが、花が終わると褐色に変わるので、まるで枯れたように見えます。
褐色に変わった花穂を天日干しにしたものが、夏枯草という漢方薬として用いられます。
消しゴムはんこでは、花が終わりに近づいているウツボグサを彫りました。
ウツボグサの花は唇のような形をしていて、下から上に向かって咲きます。
本体と花は別々のパーツにしました。
菖蒲華(あやめはなさく)
6月26日~7月1日頃は「菖蒲華(あやめはなさく)」です。
アヤメの花が咲くという意味です。
アヤメというと、カキツバタやハナショウブとの見分けがなかなかつきません。
どちらも優れていて優劣がつけにくいことを表す「いずれ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた)」という言葉もあるくらいです。
調べてみると、
アヤメ(菖蒲/文目/綾目):花びらの根元が白色と黄色で、網目模様がある。
5月上旬から中旬に咲く。
カキツバタ(燕子花/杜若):花びらの根元が白色で、模様がない。
5月中旬から下旬に咲く。
ハナショウブ(花菖蒲) :花びらの根元が黄色で、模様がない。
5月下旬から6月に咲く。
のだそうです。
ちなみに、端午の節句の菖蒲湯に使われるショウブとハナショウブは別の植物です。
「菖蒲華(あやめはなさく)」のアヤメはハナショウブのことだとも言われますが、消しゴムはんこでは家紋のひとつ「根引き杜若」を簡略化して形を表しました。
手持ちのスタンプインクには赤みがかった紫の菖蒲色(あやめいろ)があるのですが、青みがかった紫の菖蒲色(しょうぶいろ)とは異なります。
ハナショウブをイメージして、花の部分は青みがかった紫色のスタンプインクを使ってはんこを押しました。
ハナショウブなので花びらの根元は本来なら黄色でしょうが、今回は省略しました。
半夏生(はんげしょうず)
7月2日~7月6日頃は「半夏生(はんげしょうず)」です。
烏柄杓(カラスビシャク)が生えるという意味です。
繁殖力がとても旺盛なカラスビシャクは、別名を半夏といい、漢方薬としても用いられます。
同じ頃に花を咲かせる、ドクダミ科のハンゲショウ(半夏生/半化粧)とは別の植物です。
消しゴムはんこではカラスビシャクの葉と花を彫りました。
花からひょろりと伸びる部位が特徴的なので、それを間違って削ってしまわないように注意しながら作業しました。
7月2日頃は雑節の「半夏生(はんげしょう)」にもあたる時期で、昔はこの日までに田植えを終わらせるのが目安だったそうです。
関西地方では苗がタコの足のようにしっかり根付くようにと願いをこめてタコを食べる風習があるのだとか。
わたしはここ数年、スーパーのチラシでタコを食べる風習を知りました。
今回の消しゴムはんこは植物シリーズだったので、気分転換にタコの消しゴムはんこも作ってみました。
参考サイト・書籍
国立天文台 天文情報センター 暦計算室
Wikipedia「七十二候」
All About 暮らし/暮らしの歳時記「2020年夏至はいつ?冬至と夏至の関係、食べ物などを解説」
暦生活、高月美樹・監修「まいにち暦生活 日本の暮らしを楽しむ365のコツ」ナツメ社,2020年
夏至の箸袋:作った消しゴムはんこと懐紙で
作った消しゴムはんこを、夫のお弁当用の箸を包む箸袋の飾りに使いました。
懐紙を半分に切り、三つ折りにした箸袋に消しゴムはんこを押します。
娘にもお弁当を作る予定ができてしまったので、娘用の箸袋も作りました。
タコと柑橘類の消しゴムはんこをそれぞれ懐紙にランダムに押し、半分に切って箸袋にしました。
今回の七十二候は三つとも植物がテーマでした。
初めてウツボグサやカラスビシャクの存在を知りましたが、生活に根付いた身近な植物たちだったのでしょうね。